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わにの日々-海が好き!編

NY、DC、テキサス、コロラドを経て、大都会ロサンゼルスから、その郊外の海辺の街、レドンドビーチに移り住んだ、ぐうたら中年主婦・わにのトホホな日々

金持ちほどケチ、ってのは本当?

 前代未聞の54兆円の累積赤字を抱えるアメリカ政府にとって貴重な収入源となりうる、今年末で期限が切れる通称「ブッシュ減税(Bush tax cuts)」の延長を巡って、民主党と共和党の攻防が続いています。民主党は、米国の高税納税者上位1%である年収25万ドルを越える富裕層を除く家計に減税を延長する方針であり、共和党は全国民への減税延長を推している。先の中間選挙で大勝し、来年度から下院の過半数議席を占める共和党への歩み寄りとしてオバマ大統領は、富裕層1%に対する今後2-3年の減税延長と、その他99%に対する恒久的減税措置を示唆しましたが、共和党はこれを承諾せず、断固として金持ち優遇の継続を押し通すつもりです。

 所得に応じた減税措置法案は今年中に下院を通過するでしょうが、上院でこの法案が採決されるには、少なくとも一人の共和党議員が「造反」して賛成票を入れることが必要です。でも今のところ、共和党は一致団結して、この法案を阻止すると見られています。よりによってクリスマスを過ぎた頃に資金切れとなってしまう、失業保険手当の給付延長を議会で通したい民主党としては、全国民への減税措置延長と引換に共和党からの失業手当給付延長への支持を得られるかもしれないとの思惑もある。国民200万人が生活の糧としている失業保険を盾に、上位1%の富裕層の財産を保護しようって共和党って、ほーんと、金持ちだけに都合いい政治をやってるってのに、当の、失業保険で食いつないでるレッドネックなんかが支持しちゃうんだから、私なんぞから見れば、わけワカメですよ。

 昨日のNPR、マーケットプレイスで、ロバート・ライヒ教授が言っていましたが、この年収25万ドルを越える富裕層トップ1%ってのは、全米総収入の実に4分の1を得ているのだとか。この層は、1980年には全米総収入の10%を稼いでいたのだそうで、つまり、アメリカにおける貧富の差は、ここ30年で大きく広がったことになります。ウォール街の銀行家や、大手企業の重役やオーナーといった超の付く金持ちに対して税金優遇して、一体どれだけの経済的効果が得られるというのでしょうか?彼らが、その収入に対して費やすお金は、残り99%の中低所得層が税金優遇によって得た余剰収入から費やす金額に比べれば、ずーっと少ないものです。上位高税所得者130万人のうちの一人が、クリスティーのオークションで謎のモダンアート作品だか、清朝の壺だかに何十億と払うよか、アメリカ総人口3億人のうちの残りの家計が月に10ドル余計に費やしたほうが、経済効果は大きい。

 来年と再来年で、この高税納入者1%の減税待遇によって失われる歳入額は、1300億ドルだそうです。このお金で一体どれだけの雇用を創出することが出来るでしょうか?削減された教員や警察官、消防士を再雇用するだけでも、教育充実や治安向上等々、雇用創出だけではない効果を産み出します。更に、アメリカの消費支出は国内総生産の7割を占めているので(因みに日本は6割弱)、消費が増えれば自動的に景気がよくなるわけです。日本ですら、政府がせっせとお金を使った公共投資は対して功を発しなかったのに、個人消費がGNPに占める割合がより大きなアメリカでは、政府がなけなしのお金をはたいて事業をやるよか、中産階級が職を取り戻して、お金使ってくれる方がより有用なのです。

 アメリカ国内だけじゃありません。米経済の回復とドルの安定は、世界金融にとっても重要な鍵です。米景気回復という世界的な重要課題をないがしろにしてまで、その世界不況をもたらした張本人共を一層潤そうというのが、共和党の推し進める、所得水準に関わりない減税の目的だといってもいいと思います。ブッシュ減税停止による課税率の変化は、現行35%から39.9%と、5%以下なのだそう。年収25万ドルなら、ざっと1万2千ドル多く支払うことになるけど、これじゃヒュンダイの新車も買えない。豪邸に住んで、メルセデツやらベントレーやらの車を乗り回して、ルイ・ヴィトンのかばん下げてロデオでお買い物するようなヤカラが、それっぽっちでケチケチ言ってんじゃねえ!って、私は思うんですけど?

 ついでなので、ご参考までに、2008年度の州別、連邦個人税データの概要を示した、The Tax Foundationのサイトのリンクを貼っておきます。

rodeo.jpg
手持ちにまともなロデオドライブの写真がなかったのでフリー画像から借りてきました



ロデオの一本東の通りなら買い物したことありますけどw
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  1. 2010/11/18(木) 22:36:16|
  2. アメリカ経済・政治
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